奈良三名椿
奈良三名椿とは
奈良の春を彩る代表的な花が椿です。奈良には三名椿と呼ばれる椿の木があり、桜とともに古都に春を告げるように花を咲かせます。
奈良の三名椿とは、散り椿(伝香寺)、五色椿(高円山 白毫寺)、のりこぼし(良弁椿)(東大寺)を指し、どれもが魅力的な花を咲かせます。
散り椿
伝香寺
伝香寺は近鉄奈良駅とJR奈良駅の間くらいに位置するお寺で、やすらぎの道沿いにあります。
小さなお寺で、平素は訪れる人も多くはないのですが、この伝香寺にある散り椿を目当てに訪れる人は少なからずいるのです。
散り椿とは、桜の如く、潔く散ることから命名されたと書かれています。
本堂に向かう脇に咲いているのが「散り椿」です。紅の花が鮮やかに咲き誇ります。
散り椿の脇に説明書きがあり、三名椿たる由縁が記されています。
散った花が苔の上にひらりと落ち、儚げな趣が。
紅の花と緑の葉のコントラストがキレイです。
石の上にも散った花びらが広がり、まさに散り椿です。
五色椿
白毫寺
白毫寺は奈良公園などからは少し離れた山手にあるお寺で、住宅街の離れに佇んでいます。
門までは階段を上っていくのですが、両脇を椿と桜の花が出迎えてくれます。
境内からは奈良市内の展望が開け、素晴らしい眺めです。この白毫寺に五色椿があるのです。
境内に入るとすぐに本堂があり、その前に五色椿はあります。大きな椿の木で、見上げると色とりどりの花を咲かせています。紅や白、そして色が混ざったものなど多彩な花が見えます。
少し離れて見てみるとやはり大きな木です。高さは約5mとのこと。堂々とした立派な椿です。
木の下を覆っている苔を、散った花びらが美しく彩ります。
木の根元にはお地蔵さんがあり、椿の花びらがお地蔵さんを飾るように舞っています。
五色椿の説明書きには名木として保護すべきであると記されています。
のりこぼし
東大寺
東大寺の中にあって重要な位置を占めるのが開山堂です。開山堂とはその名のとおり東大寺を開山した良弁僧正の像が祀られており、建物自体は国宝に指定されている由緒あるものです。その開山堂の中に三名椿の一つ、のりこぼし(良弁椿)があるのです。
紅の花びらに白い糊をこぼしたように見えることからのりこぼしと呼ばれるようになったとか。非公開の開山堂の中にあり遠くから眺めるしかないため、お寺の方が花びらを四月堂の縁側に置き、近くで見ることができるようになっているのです。紅に白の模様が確かにのりこぼしをイメージさせます。
のりこぼしの木はこのような感じです、後ろの建物が開山堂です。四月堂側から少しだけ見ることができます。