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実録山の辺の道
を歩く
後編

Part 2山の辺の風景を
楽しみながら
石上神宮へ

長岳寺を出ると少し天気が怪しくなってきたのでテンポを速めて歩きたいところですが、ここからは山の辺の道らしい光景が広がりますので気持ちを抑えてゆっくりと歩を進めます。
途中には休憩所などもあり一息いれながら北へ向かいます。
道の正面に夜都岐神社に鳥居が見えてきました。今日は時間の関係で立ち寄ることができませんがまたの機会に訪れようと思います。

夜都岐神社

奈良春日神社と縁の深い神社で俗に春日神社ともいわれる。

夜都岐神社を過ぎてからもしばらくはのどかな道が続いていたのですが、ゴール間近になって石畳のアップダウンのきつい、山道が現れます。

そこを抜けるといつの間にか石上神宮の外苑になっていました。

石上神宮(いそのかみじんぐう)布留山の麓に鎮座する物部氏の総氏神

山の辺の道として整備されているコースの一般的な終着点(または始発点)がここ、石上神宮です。石上神宮は、さきほど御陵を訪ねた崇神天皇の勅命によって、物部氏の子孫が創設したとされ、大神神社も古事記にある崇神天皇時代の話に由来しますから、負けず劣らず日本最古の神宮、と称しているのもうなずけます。ご祭神は、神武天皇東征の物語に登場する天から与えられた剣、布都御魂大神(ふつのみたまのおおかみ)など3柱の神様で、古代の武門の棟梁、物部氏の氏神としても知られ、健康長寿、除災招福の神様とされています。古典では「石上神宮」「石上振神宮(いそのかみふるじんぐう)」「石上坐布都御魂神社(いそのかみにますふつのみたまじんじゃ)」等と記され、この他「石上社」「布留社」とも呼ばれていました。凛とした空気と静けさに包まれた境内に、何ともいえない清浄感がありますね。

鏡池の横を通り
拝殿へ

キレイな鶏がいる!まさか酉年だから?
いえ、元々鶏は神の遣いとされ、石上神宮には大体40羽ほどの東天紅など、美しい鶏が飼われています。鳴き声は魔除けとも考えられていますので、鳴き声を聞くとご利益があるかも…夕方ですが、さっきから結構鳴いていますね。

ちょっと変わった建造物があるね
この建物は、摂社、出雲建雄神社拝殿(せっしゃ いずもたけおじんじゃはいでん)で、石上神宮の拝殿とともに国宝に指定されています。元は内山永久寺(うちやまえいきゅうじ)の鎮守の住吉社の拝殿だったものを移築したものです。出雲建雄神社自体は、立て看板によると天叢雲剣 (あめのむらくものつるぎ)またの名を草薙剣(くさなぎのつるぎ)の霊威を祀っているようです。この剣は、スサノオノミコトが大蛇、ヤマタノオロチを退治したときに尻尾から出てきた剣(このときの名前は天叢雲剣 )で、ヤマトタケルノミコトが東国征伐に行くときに、斎宮の倭姫(ヤマトヒメ)から授かったとされる剣(草薙剣)です。国宝といえば、百済国王から贈られたとされる七支刀(しちしとう)も有名です。
刀づくし!

column大和朝廷の武器庫の役割も果たした
石上神宮と物部氏

古代に武門の棟梁として知られた物部氏(もののべうじ)の氏神であった石上神宮は、武器庫の役割を果たしていたと考えられる。ところで、物部氏といえば、後に蘇我氏と対立する豪族として知られ、仏教の普及を巡っては、蘇我氏&聖徳太子〈崇仏派〉VS物部氏〈廃仏派〉という構図となる。ついには戦いの火ぶたが切られ、物部氏は、仏のご加護を得た蘇我氏&聖徳太子組みに滅ぼされてしまうのだが、物部氏のルーツは、天孫降臨した神とも言われ、渡来人といわれる蘇我氏より古く、由緒正しい一族という説も。神話と謎の世界だが、物部氏はただの豪族ではない、と位置づけられていることは確かである。

旅を終えて…

石上神宮の参拝が終わるちょうどそのタイミングで雨。しっとりと五月雨に洗われる神様の社を後に帰路へ。山の辺の道の旅は、これでいったん終了です。

編集後記

さくらママ
ガイドとして、記事をまとめましたが、後半の天理市の山の辺の道は、久しぶりでした。興味深いのは、スポットと古事記等の物語をリンクし、山の辺の道をトータルで俯瞰すると、崇神天皇に繋がりが多いことです。大神神社、檜原神社、石上神宮ともに崇神天皇時代に始まったとされていますし、大和朝廷の祖と言われるのも納得です。
カルチョ
奈良が大好きというものの山の辺の道を走破するのは初めてで改めて奈良の良さを実感しました。山の辺の道の風景はまさに日本の原風景であり飛鳥、奈良時代の息吹を感じることができる素晴らしい体験でした。さらに歴史を知れば違った趣が楽しめると思うので、またゆっくり写真を撮りながら走破したいと思います。
ガンちゃん
山の辺の道の道中。見渡す限り辺り一面の緑で所々に季節の花の色、聞こえてくるのは風に揺られる草木の音とあちこちから聞こえる小鳥や虫、蛙の声だけ。町中に住んでいるとなかなか見ることができないその光景が新鮮で、単純に「あぁ、良い所だなぁ」と思わせてくれた場所でした。